KAMOSENI

01 株式会社鈴木靴下様×加茂繊維
「しっとりぽかぽかソックス」
つくり手の「心」がこもった靴下は、輝く。

株式会社 鈴木靴下様(以下、敬称略)の技術に、加茂繊維のBSファインをプラスして誕生した「しっとりぽかぽかソックス」。多くの方々が抱える「冷え」「乾燥」のお悩みを足元から解決します。開発の原点にあったのは、両社のものづくりに対する熱い想い。その物語は、2009年にはじまりました。

一に「環境」、二に「意識」。

2009年5月。加茂繊維の代表・角野は知人のご紹介で、ある靴下メーカーに出会います。株式会社鈴木靴下。サッカー日本代表チームのソックスを手掛けた実績もある、卓越した技術を保有する会社です。

株式会社 鈴木靴下 代表取締役 鈴木和夫様

加茂繊維 取締役会⻑ 角野:鈴木靴下様の工場を初めて見学させていただいたとき、そのレベルの高さに驚きました。きちんと整理整頓がされて、仕事の手順もすべて決められています。綿をたくさん使っているから綿塵も出るはずなのに、それが一切ない。普通ではありえないことです。湿度・温度・換気なども徹底的に管理されています。工場を見て、この方は本当に真摯な姿勢でものづくりをされているんだと感じました。そして、ぜひ一緒に理想のものづくりをしたい、と思いました。

鈴木靴下 代表取締役 鈴木:ありがたいことに、弊社は「技術が高いですね」というお言葉をいただくことが多いです。ですが私は、実はものづくりで一番大事なのは「環境」、そして次につくる人の「意識」だと思っています。技術は三番目。例えると、いくらいい料理長がいても、食材が悪ければいい料理ができないのと同じです。技術を活かすまでの過程である「環境」が、最も大切なのです。

そんな鈴木靴下が独自に開発した「米ぬか繊維」。それは文字通り、米ぬかの成分を含む繊維。米ぬか保湿成分により、しっとり柔らかく滑らかな肌触りが特徴です。その開発のきっかけは、鈴木社長の子ども時代にありました。

株式会社 鈴木靴下 代表取締役 鈴木和夫様

鈴木:小学校の頃、掃除の時間によく米ぬか袋で廊下を拭いていたのですが、廊下がつるつるになったんですよ。ですから、それで靴下をつくったら、足もつるつるになるのではないかと思いました。ただ、どうすれば実現できるのかが全く分からず、最初は米ぬかと靴下を鍋で煮こんでみたり、いろいろ試しました。

鈴木社長は、米ぬかの抽出の仕方を学ぶために多くの専門家を尋ね、たった一人で研究をつづけました。そして、長い年月を要してようやく米ぬか繊維が完成。加茂繊維と出会ったのはちょうどその頃でした。

鈴木:日本の繊維工場がどんどん海外に出ていく中、加茂繊維さんは国内で、価値あるものづくりをすることにこだわっていらっしゃった。その姿勢に、非常に共感しました。私たちと同じ想いだ、と。加茂繊維さんと一緒にいいものをつくりたい、そう思いました。

ご両親を想う気持ちが、
そのまま形に。

こうして、両社の共同開発がスタートしました。最初に誕生したのは鈴木靴下の技術が余すことなく活かされた「ウォーキングソックス」という商品。最高級の天然ゴムを使い、足首の締め付けがなく、長時間歩いても疲れないのが特徴でした。お客様からの反響も徐々に大きくなり、両社は次なる商品の開発に乗り出します。

角野:新商品開発のために、鈴木社長から何点か試作品を送っていただきました。しかし、どれも決定的な決め手に欠けていました。『他にありませんか?』って聞いたところ『売るつもりはなかったけれど、両親につくったものならあります』と一足の靴下をお送りいただいたのです。それを見た瞬間、『これは、いい!輝いている。』そう思いました。

それは、鈴木社長がご両親のことを想ってつくった、米ぬか繊維の靴下でした。米ぬか繊維が入っているので、お肌はしっとり。そして、足首の締め付けもありません。年配の方でも、片手で引っ張れば簡単に履け、しかもずれ落ちません。

角野:鈴木社長の誠実で温厚なお人柄がそのまま形になった靴下でした。ご両親のことを一所懸命に思ってつくられた。だからこそ、私にはその靴下が光り輝いて見えたのです。

使用する糸は、米ぬか繊維でできたハイバルキーと、BSファイン。バルキー加工という糸の嵩が高くなる加工法により、糸が膨らみふわっとした風合いになります。この柔らかい糸と、鉱石の入ったBSファインの堅い糸をバランスよく編み込んでいくのですが…。

鈴木:2つの糸をまんだら状に編みこんでいくのですが、きれいに編めず、苦労しました。原因はBSファインの糸の仕上がりです。角野会長に依頼し、糸から改良を重ねていただき、ようやくきれいに編めるようになりました。

サンプルが完成した後も、細部までこだわって何度も修正が行われました。

角野:私は靴下に関しては素人ですが、履き口の柔らかさやかかとの位置など、徹底的にこだわってご意見させていただきました。鈴木さんは、その一つひとつに真摯に応えてくださった。だからこそ、お客様に本当に喜んでいただける最高のソックスをつくり上げることができました。

こうして完成した「しっとりぽかぽかソックス」は、平成30年の発売当初は年間2,000足の販売でしたが、翌年には年間20,000足、さらに翌年には年間30,000足を売り上げるヒット商品に。鈴木靴下様の主力商品の一つにもなったのです。

日本のものづくりのよさを、
次世代に伝えていく。

鈴木靴下と加茂繊維、互いの強みを活かし合う関係は今も継続し、これからも続いていきます。

角野:海外のものづくりと、日本のものづくりは、感性が違うと思っています。日本人には、箱庭や、盆栽など、細やかなところまでこだわる感性があります。私は、そんな日本らしいものづくりを、次世代に残していきたい。鈴木靴下様のような素晴らしいパートナー企業様と力を合わせて価値あるものづくりを継続し、それを世の中に積極的に発信していきたいと思っています。

鈴木:私は、表面的なニーズを追うのではなく、人が心から欲するものを手掛けていきたいです。そのためには、品質の良さはもちろんのこと、心を動かすストーリーが必要です。「触ってみたい」「試してみたい」そんな、好奇心を刺激するような、ものづくりをしたい。流行り廃りではなく、いつの時代でも人々が求めるようなものをつくっていきたいです。弊社はありがたいことに、今、靴下業界の中では注目されています。それを加茂繊維さんにうまく活用していただき、弊社も加茂繊維さんのお力をお借りしながら、共に成長していきたいと考えています。

日本のものづくりの良さを、次世代へとつないでいく。そんな志を重ねあい、ともに進化していく両社。その先には、ものづくりの明るい未来が広がっています。

株式会社鈴木靴下

1958年創業。子ども向け靴下の生産を中心に事業を展開していたが、1987年に大手スポーツメーカーのOEM生産を開始。スポーツ界からも幅広く信頼を得、1993年と1998年のサッカーワールドカップの日本代表ソックスを手掛ける。1997年には初の自社商品である「SOLE MAGIC」を販売。2006年には米ぬかの天然美肌成分を初めて本格的に練り込んだ、まったく新しい繊維「米糠繊維SK」の開発に成功。以後、米ぬか繊維を使用した自社商品を次々と世に送りだす。

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