KAMOSENI

03 株式会社NiFT×加茂繊維
「BS FINE CHAIR」
「椅子」で、世界中の人々の健康を守りたい。

株式会社 NiFT様(以下、敬称略)の技術に、加茂繊維のBSファインをプラスして誕生した、「BS FINE CHAIR」。フォルムや機能面だけではなく、椅子に使用する「素材」から人々の健康にアプローチするという、今までの常識を覆す椅子の完成です。その誕生までには、実に7年以上の道のりがありました。

安くて売れるものではなく、本当に価値あるものを追求する。

株式会社NiFTの代表、沼直樹氏が加茂繊維と出会ったのは2013年。当時、沼氏は大手家具メーカーで椅子の商品開発と企画を行なっていました。

NiFT 代表取締役 沼:私は大手家具メーカーで多くの経験を積ませていただき、非常に恵まれた環境にいました。そんな中、一番関心を持っていたのが、健康に効果のある新素材を使った椅子づくりです。椅子はジャケットと同じように身体と触れる面積が大きいので、適した素材さえ見つかれば、椅子を通して人の健康に貢献できるのでは、と考えていました。

加茂繊維 代表取締役 角野:最初にお会いした際、BSファインのことをお話しましたが、正直のところはまだ半信半疑だったのではないかと思います。ですが、その後も何度もお会いし、BSファインの商品もプレゼントしました。実際に使っていただいているうちに、だんだんBSファインの効果を実感されていったのだと思います。

沼:身体をあたためる素材を開発しようとする企業は多いですが、加茂繊維様は天然鉱石のブラックシリカを糸に練りこむという難易度の高いことを既に実現されていました。これには膨大なお金や知識のある研究者が必要で、普通はできないことです。しかし加茂繊維様はそれを全てコーディネートされている。それに尊敬の念を抱きましたし、「私が探していた素材は、これだ!」と直感で確信しました。

両者のものづくりに対する考え方にも、共通点がありました。

株式会社NiFT 代表取締役 沼直樹様

沼:当時、家具業界では、海外から安いものを仕入れて安い価格で大量に販売する、という考え方が主流でした。また、商品企画の際には「大量に売れるかどうか」が最も重要視されていました。しかし、私の考え方は逆だったのです。お客様のニーズを第一に考え、そのニーズを井戸のように深堀りし、追求していく。そうしてつくった商品は、例え多くは売れなくても、確実にお客様に喜んでいただけるはずだと考えました。BSファインを使用した椅子は、価格が高く大量には売れないかもしれません。でも、病気や怪我でお悩みの方の課題を解決することができます。私は、単に売れるものではなく、価値のあるものを追求したい。だから残りの人生はこれに賭けよう、と決めました。

その後沼氏は独立し、2018年5月に株式会社NiFTを設立。加茂繊維との共同開発がスタートしました。新商品「BS FINE CHAIR」をきっかけに、新しいものづくりの仕方、新しい販売の方法を築きあげ、新たな仕組みづくりのきっかけにしたい。両社は、そんな熱意に溢れていました。

あたたかく、心地よく、
包みこんでくれる椅子を目指して。

「BS FINE CHAIR」の開発にあたり、NiFTはデザインや工学的な検証に着手しました。

沼:最初から決めていたのは、世界に通じるデザイン事務所と組むことです。BS FINE CHAIRの市場は国内にとどまらず世界になります。ですから、世界を見据えた確かなデザインにしたかったのです。そこで、インダストリアルデザインではドイツで3本の指に入るFPデザイン様というところに依頼しました。

NiFT、加茂繊維、そしてFPデザイン。開発チームの全員が大切にしていたのは、BS FINE CHAIRを唯一無二の椅子にすることでした。既に世の中に出回っている他の椅子と同じようなものでは、お客様に感動していただくことはできません。また、どうすればBSファインという素材を最大限生かすことができるのか。BSファインの配合率や、椅子のフォルム、布の張り方など、全てがゼロから検討されていきました。

沼:フォルムについては、FPデザインのデザイナーがその答えを出してくれました。大きな丸いフォルムです。人を包みこむにはぴったりのアイディアでした。また、椅子に張る生地についても悩みましたが、シカゴで行なわれた家具の展示会で、非常に網目の美しいニットに出会ったのです。聞けば、日本の島精機製作所様でした。早速ご紹介をいただいたところ、有難いことに社長から「新しいことをしている方にぜひ協力したい」とお言葉を頂戴し、BSファインを織り込んだニットを製作していただけることになりました。

このニット生地が、BS FINE CHAIRの大きな特徴の一つになりました。帽子のような形に立体的に編み込まれたニット生地を、椅子のフレームに帽子をかぶせるようにして装着し、椅子の中心にグッと引き込みます。そうすることで、座った時にBSファインの織り込まれたニットがピタッと吸い付くような感覚で身体が包みこまれます。

角野:フレームからニット生地を外して、自由に着せ替えたり、洗濯することもできます。このアイディアを思いついた沼さんのインスピレーション、発想力は素晴らしいですし、それを実現したというのも本当にすごいことです。

さらに座面と背の部分にはBSファインを混ぜ込んだクッションを使用。ニット生地とクッションによって、座るとすぐにふんわりとしたあたたかさを感じます。熱源がなくても身体を自然に快適にあたためる、見た目も美しいBS FINE CHAIRが完成しました。

未来のより良い暮らしを、
つくりたい。

BS FINE CHAIRはリリース後、大きな注目を集めました。これまで椅子のフォルムには様々な工夫が施されてきましたが、素材から着目して誕生した椅子は、業界でも初めてだったのです。ですが、これはまだ序章にすぎません。

角野:弊社では、軽量化を追求した素材や、全く滑らない素材など、様々な機能を持つBSファインができています。これらの様々な機能とNiFT様の卓越した技術と企画力を掛け合わせることによって、全く新しい未来が広がります。沼さんの想いを実現できるよう、私たちも一緒に成長していきたいと思います。

沼:私が目指しているのは、暮らしそのものをより良くしていくことです。暮らしの中には、椅子だけでなく、テーブルやカーテン、間仕切り、壁紙など、化学物質が使われているものがたくさんあります。それらを、もっと人の健康を意識したものに仕立てていきたいです。それには加茂繊維さんの繊維のチカラが欠かせないと思います。さらに家の中だけでなく、移動手段である車や電車、航空機など、そういうところにも健康的な機能性素材を利用するプロデュースをしていきたいです。それによって、世界中の人が、健康で、快適に過ごせる、未来のより良い暮らしをつくりたい。そんな世の中を心から望んでいます。

世界中の人に、より心地よい暮らしと健康を。そんな両社の挑戦は、まだ始まったばかりです。

株式会社NiFT

2019年設立。生活家具・オフィス什器・備品の商品企画から製造・販売までを手掛ける。代表の沼氏は元大手家具メーカーの開発出身。主な実績は2000年、イタリア ジウジアーロ氏監修のデザイン「コンテッサ」開発プロジェクトプロダクトに設計で参加。2004年、建築家岡部憲明氏デザイン、小田急ロマンスカーVSE向けシート開発に参加。2017年、新国立競技場VVIP席をスペイン フィギュラス社と共同開発の推進など。

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