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02 株式会社米阪パイル織物様×加茂繊維
「毛布・敷きパッド」
新たな挑戦で、寝具業界の未来をつくる。

株式会社 米阪パイル織物様(以下、敬称略)の技術に、加茂繊維のBSファインをプラスして誕生した、「毛布・敷きパッド」。厳しい寒さの夜でも、暑い熱帯夜の夜でも体温を保ち、快適な眠りを実現し、多くの方が抱える「冷え」「不眠」などのお悩みを解決しています。しかし、この開発は、決して最初から順風満帆だったわけではありませんでした。

インナーウェアと寝具、全くの異業界の出会い。

古来より織物が盛んな和歌山県の高野口の地域で、1935年に創業した米阪パイル織物。生地の表裏両面にパイル(※)が立毛する構造「シール織り」で特許を保有し、このシール織りで作られる「KOYA PILE(こうやパイル)」は柔らかい上にピリングが起こりにくく、耐久性に優れています。その驚異的な技術力の高さから新幹線や在来線のシートにも使用され、「のぞみ」のシートの実に80%は同社の製品です。そんな米阪パイル織物様と共にBSファインの毛布を作りたい、と加茂繊維の代表角野が初めて米阪パイル織物に訪問したのは、2016年のことでした。
(※)パイル…平らな生地から糸が垂直に立っている状態を「パイル織物」と呼ぶ。身近な例ではタオル生地や毛布など。
(※)ピリング…繊維同士が摩擦することによってできる毛玉。

米阪パイル織物 代表取締役 米阪:初めてお会いした時の印象ですが、正直に申し上げると、BSファインの良さが、あまりピンときませんでした。加茂繊維様は、もともと肌着やソックスを開発されていた企業様で、私たちのような寝具業界とは全くの異業界。なので、カルチャーも違いますし、ビジネスの仕方も違います。本当に弊社とお取引をされるのかな、というのが率直な思いでした。

加茂繊維 代表取締役 角野:今であればBSファインは少しずつ知名度が上がっていますが、当時はまだまだ知名度が低い中での突然の訪問だったので、無理もなかったと思います。米阪社長のご反応を見て、これは断られてしまったんだな、と思いました。

しかしその数ヶ月後、2社は横浜で偶然に再会。その時に改めてじっくりと本音で話し合い、深くお互いの考えを理解することができました。

米阪:角野社長から、今までの事業の変遷をお伺いしたのです。津山の縫製工場という立場から、覚悟を持って自社で素材を持つ肌着メーカーに生まれ変わった。そして、商品を問屋を通じて販売するのではなく、自社で直接お客様に販売する手法を確立されたのです。同じ繊維に携わらせていただくものとして、それがとても刺激でした。自分もまだまだ頑張らないといけないな、という気持ちになりました。商売やお金儲けという観点ではなく、このようなバイタリティーあふれる前向きな方と、ぜひ一緒にものづくりをしていきたい。そんな気持ちが湧き起こりました。

こうしてBSファインを使用した毛布の開発がスタートしました。米阪社長は岡山県津山市にある加茂繊維の工場まで何度も直接足を運び、打ち合わせを重ねました。

株式会社 米阪パイル織物 代表取締役 米阪佳久様

最高の毛布、
敷きパッドをつくるために。

最高のものづくりをしたいという想いではじまった開発ですが、製造の段階になるといくつか問題が現れました。その一つが、BSファインの糸の堅さです。パイル織りでは柔らかい風合いが実現するために、繊維を1本1本カットしていきます。従来の綿やポリエステルの糸であれば簡単にカットできるのですが、BSファインの糸には天然鉱石であるブラックシリカが練りこまれているため、堅くて非常にカットしにくいのです。

米阪:今までのカッターだとすぐに刃がこぼれてしまうのです。実際に、工場の現場からも『どうにかならないでしょうか』という声が上がりました。そこで刃物で有名なドイツのゾーリンゲン地方から刃を取り寄せ、機械に組み込みました。しかしそれでも刃こぼれは起こすので、研磨のタイミングの管理を徹底的に管理することでなんとか対処しました。

苦労して作り上げた毛布は堅い鉱石の入ったBSファインの糸を使用したにも関わらず、パイル織りの柔らかい風合いを持ち、ピリングも起こさない耐久性の優れたものとなりました。

米阪:途中であきらめなかったのには、理由があります。弊社の周辺の地域には、昔からたくさんパイル織物の工場があったのですが、今はその10分の1しか残っていません。技術の伝承ができず、市場もどんどんシュリンクしています。その中で、生産しやすいものばかりを扱っていたら、進化につながりません。新しい価値も生み出せません。難しいことでも、前向きに挑戦して実現することで、未来に進みたい。そんな想いが強くありました。

角野:米阪社長が、そういう姿勢を持って前に進まれるから、現場の社員さんもついてこられたのだと思います。その結果、お客様から感激していただけるほど、価値ある寝具が完成したのです。

一般的に就寝時に体をあたためるために使用されるエアコンや電気毛布と違い、BSファインを使用した毛布・敷きパッドは、体温の自然なあたたかさを蓄熱し保ち続けることです。この毛布や敷パッドを使用すれば、冷房による乾燥で喉を傷めることもありません。さらに、体温以上になることがないため、夏でも冷房対策として快適な眠りを実現できます。季節を問わず1年中、質の高い眠りを実現できる毛布と敷きパッドが誕生しました。

強みを活かし合い、
寝具業界の可能性を広げる。

両社が初めて一緒につくった毛布・敷きパッドを皮切りに、その後も新商品のアイディアが絶えません。

米阪:これまで寝具業界では、新しことに挑戦する人はあまり多くはありませんでした。ですが、近年は睡眠という領域に注目が集まっており、寝具メーカー以外の企業も多く参入してきています。私たちも今までの考え方に縛られていてはいけません。素材という切り口から考えれば、付加価値の出し方は無限にあります。BSファインだけでなく、現在開発中の様々な新素材を使って、その可能性をさらに探っていきたいです。

角野:どの業界においても、今のやり方、考え方に縛られず、小さなイノベーションを起こし続ける、そんな気概がとても大切だと思います。その点、米阪パイル織物様は、常に未来を見据えておられます。夢は大きく、お互いの強みを活かし合いながら、共に成長を続けていきたいです。

両社の進む未来には、人々がお困りごとから解放された、快適な世界が広がっています。

米阪パイル織物株式会社

1935年、織物工場として創業。1962年に米阪パイル織物株式会社を設立し、車輌用シート地(モケット)、毛布類、玩具用生地等を製造する。特に車輌用シート地(モケット)は主に高級車や電車などで使われており、在来線や新幹線のシートで活躍。毛布類は高級シール織毛布を中心に製造しており、独自の技術で特許も取得。現在百貨店や専門店などで販売されている。

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